最高裁判所第二小法廷 昭和36(あ)588 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人大矢和徳の上告趣意第一点は違憲を主張するが、刑法二四六条一項は、「
人ヲ欺罔シテ財物ヲ騙取シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス」る旨を規定し、詐欺の
犯罪構成要件の定め方に明確を欠くところはない。そして右のように刑の適用に関
し裁判所の裁量権を広く認めているのは、形式的標準によつて量刑を拘束すること
を不当とする立法政策によるものであつて、量刑については、犯人の性行、経歴、
環境、犯行の動機、手段方法、実害の大小等犯人の主観及び客観の事情を併せ考察
してその適切を期すべきことを当然の前提とするものであり、決して裁判所の恣意
を許す趣旨に出たものではない。されば、所論違憲の主張は前提を欠き、また同第
二点は量刑の非難であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記
録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三六年六月一六日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
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